「パパいってきます」
「いってきま~しゅ。パパおるすばんおねがいね」
「あぁ」
陽菜に『お留守番お願いね』って言われても。
「じゃあ恭介さん行って来ます。明日の夕方には帰りますから。 夜に電話しますね」
「ん。気をつけてな。女将と小雪によろしく言っといてくれ」
「はい」
「涼、陽菜、ママの言うことをよく聞いていい子にするんだぞ」
「うん」
「ひなはいいこだもん」
相変わらず膨れてるし。
「そうだな、陽菜はいい子だな。涼、ママと陽菜を頼むな」
「だいじょうぶだよ」
「ん」
涼の髪をクシャッとすると
「やめてよね、パパ」
こっちも膨れてる。
やっぱり二人とも志織に似ている。
「パパ、だっこ」
「ん」
陽菜を抱き上げると
チュッ!
俺の頬にキスをして
「いってきましゅ。バイバ~イ」
「バイバ~イ」
三人が新幹線に乗り込み、涼と陽菜は窓に顔を押し付けんばかりにくっついて手を振っている。
そして新幹線は走り出し…
行っちまったな。
さ、俺も仕事を片付けるか。



