「何処に行くつもりだったの?」
ママが優しく陽菜の頭を撫でて微笑んでます。
その顔を見ると涙は我慢出来ます。
「あのね、きょうはともえちゃんのおたんじょうびなの。かずくん、ともえちゃんに『ハッピーバースデー』をうたって『おめれと』いうためにおけいこしてたの。ひなもおしえてたの。かずくんだいぶうたえるようになったの」
「うん。ぼくもおしえたの」
「きょう、ともえちゃんかぜひいておやしゅみしたの」
「うん」
「かずくん、ざんねんがって…げんきなくなったの。だからひながおみまいにともえちゃんのおうちにいこうって。ともえちゃんに『おめれと』いおうって」
「それで保育園を出て行ったの?」
「……」
「おばちゃん、ごめんなさい。ぼくがとめたらよかったんだけど」
まぁ君のせいじゃない。
「ちがうよ。まぁくんわるくないの。 ひながまぁくんにともえちゃんのおうちをまぁくんにききにいったら、まぁくんがつれていってあげるって」
「真人、保育園が終わってママが迎えに来るまで待とうって言わなかったの か?」
誠おじちゃん。
「パパ」
「おじちゃん、まぁくんわるくないの。ひながおむかえまってたらおしょくなるからつれてってもらえないっていったの。だからかずくんといまいくって。おじちゃん、まぁくんをしからないで」
陽菜また泣きそう。



