「ママ、たべていい?」
「あ、そうね」
「ほな、いただきましょか」
恭介さんと美作さんと女将さんと私はビール
小雪さんと涼と陽菜はお茶で
「乾杯」
うん、美味しい。
「ママ、これあゆだよね」
涼が鮎を指差して
「涼君、鮎を知ってんの?」
「うん。きょねんのなつにたべたよ」
「うん、たべた」
去年の山荘で食べたのを覚えていたのね。
陽菜はたぶん涼の真似だけど。
「去年、写真送ってくれはりましたなぁ。浴衣を着た写真も」
「うん」
そうね。帰ってから手紙を二人で書いてたわね。
「涼、陽菜、その黒いところは苦いから」
「うん、わかってる」
「わかってる」
フフフ…なんでも真似するんだから。
「おいしいねぇ」
今晩の食卓には、鮎の塩焼き、鱧のおとし、ずいきなます、賀茂茄子の田楽、野菜の炊き合わせ、冬瓜の葛ひき等、色とりどり。
涼と陽菜もどれも綺麗に食べた。
本当に食欲旺盛だわ。
…って、私に似てるのよね。
私も美味しく全て頂いたもの。



