「ただいま」
「あ、こゆきおねえちゃんだ」
台所から直接玄関に出て
「おかえりなしゃい」
「陽菜ちゃん、起きたんやね」
「うん。あ、おにいちゃんこっちこっち」
涼の腕を引っ張って
「なに?どうしたのひな」
恭介さんと小雪さんは怪訝な顔。
私と女将さんは顔を見合わせてクスッと。
「わぁ~すごい」
「これが『いど』っていってみじゅがでたんだって。しょしてこれがね」
涼に一生懸命説明してる。
「フフフ…陽菜ちゃんが先生どすな」
「二人にはいい勉強になる」
確かにね。
本の中だけの世界が現実に自分の目で見て、手で触れてるんですもんね。



