「おもしろかったねぇ」
陽菜は流し素麺がすっかりお気に入り。
お店を出てからも『面白かった美味しかった』を繰り返している。
「これから鞍馬の方へ行かはりますか?」
小雪さんに聞かれて
「近いんですか?」
「はい。電車で一駅です」
「くらま?くらまってあのうしわかまるとてんぐの」
「うん。涼君よう知ってるねぇ」
小雪さんに褒めてもらって
「エヘヘヘ…」
照れ笑い。
「ひなもしってるもん。うしわかまる」
陽菜も負けじと。
「陽菜ちゃんも知ってるん?」
「うん。はしをとぶんだよ」
「えっ?…あ、五条の」
牛若丸と弁慶の絵本を読んだことがあったわね。
「陽菜、よく覚えてたな」
恭介さんに褒めてもらって、こちらも
「エヘヘヘ…」
喜んでる。



