また陽菜は小雪さんと手を繋いで


「此所は水の神様なんです。あ、それから此所は『きふね神社』なんです。 地名は『きぶね』ですけど神社は『きふね』」


へぇ~そうなんだ。


一つ勉強になったわ。


本殿をお詣りして


「ママ、これなに?」


陽菜が指差したのは絵馬


「これは絵馬って言ってお願い事を書いて神様に届けるのよ」


「へぇ~かみさまへのてがみなんだね」


涼が感心したように絵馬を見ている。


「この神社が絵馬の発祥って言われてるんです」


「えっ?そうなんですか?」


「へぇ。昔、雨が続いて晴れになって欲しいって神様にお願いする時に白い馬を。晴れ続きで雨乞いする時は黒い馬を捧げたんです。それがほんもんの馬やったら育てるのも大変なんでこうして馬の絵を書いた板に願い事を書くようになって」


「だから『絵馬』なんですね」


「へぇ」


「そうなんだ。ぼくえにっきにかこうっと」


涼がリュックからメモ帳を出し絵馬をスケッチして小雪さんに聞いたことを忘れないように書いている。


それを見た陽菜が


「ひなもかく。ママおえかきちょうだして」


本当に涼の真似ばかりしたがるんだから。


「ママ」


「はいはい」


陽菜のリュックからメモ帳を取り出して


「はい」


「ありがと」


絵馬?を描き出した。