「陽菜ちゃんの表情いいわね」
「そうですか?もうカメラとか一切気にしてないと思います。漣君と遊べるのが楽しくて仕方ないみたいで」
「それがいいんですよ。でも陽菜ちゃん活発ですね」
緒方さんに言われて
「周りが男の子ばかりですから」
涼と真人君と和人君に囲まれてるから。
スタッフさんが
「お母さん、ちょっとこちらに来て陽菜ちゃんを呼んで下さい」
「あ、はい」
いったい何だろう?
慌ててカメラマンの岡村さんの側に行き
「いや陽菜ちゃんにちょっとこっち向いてほしいんで」
あ、そういうことか。
確かにカメラを意識してないからこちらを見ない。
「陽菜」
呼んで手を振るとこちらを向いて
「ママ~」
滑り台の天辺からとびきりの笑顔で手を振ってくれる。
カシャカシャ
漣君が足の間に陽菜を座らせて滑り台から滑る。
陽菜は嬉しそうにケラケラ笑って
カシャカシャ
カメラのシャッター音が響く。
それからもシーソーで遊んだり三輪車に乗って漣君に押してもらいながら公園を一周したり
「はいOK」
やっとカットがかかった。



