「さ、夕食の支度しましょうか。二人とも手伝って」
「はい」
「はい」
お母さんについて瑞穂さんとキッチンへ
「瑞穂、大丈夫なの?志織ちゃんはOKしたの?」
お母さんはご存じなんだ。
瑞穂さんが
「うん。味方になってもらわないといけないからお母さん達には話したの」
「志織ちゃん、いいの?」
「はい。私はいいんですけど…」
「難関があるわね」
「はい」
すき焼きの支度をしながら
「でも漣君とならいいわよね。かっこいいし」
お母さん?
「フフフ…お母さんもファンみたいよ」
「そうなんですか」
「陽菜ちゃんもファンみたいだし」
「あら、そうなの。じゃあいい記念になるわね」
「はい」
「志織ちゃんもファンなんだよね」
「あ~そりゃ恭介難色示すわね」
やっぱり恭介さんのお母さんだわ。
「瑞穂、説得出来る?」
「う~ん。でも兄さんは陽菜ちゃんを溺愛してるじゃない。その陽菜ちゃんが一 流のモデルと一緒に写真集に載るのよ。 嬉しいんじゃない?」
普通の父親ならそうでしょうが。
「瑞穂、まだまだ甘いわね。ね、志織ちゃん」
「はい」
「えっ?どういう意味?」
瑞穂さんが私とお母さんを見て
「瑞穂さん たぶん恭介さんは陽菜を隠しときたいくらいなんですよ。他人に見 られるよりは」
「もったいないってこと?」
「あ~まぁ~簡単に言えば。陽菜が漣君のファンだって言っただけで『早すぎ る』っておかんむりでしたから」
「はぁ~親馬鹿全開」
うんうん、その通り。
「なら難しいかな?」
「う~ん」
三人、晩御飯の支度そっちのけで頭を抱える。



