モノクロ~悪魔と天使の恋~


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森の中を奥へ奥へ、できるだけ司さんと流華がいる校舎から遠くへと移動する。

流華は学園の中で、2人の理事長に次いで力が強い、(もちろん俺も強いけど。)もしこの悪魔達の気配に気づいたらまずいことになりそうだしな。

ここくらいでいいか。

流華がいる場所から5キロほど離れた場所で止まった、そして周りを見わたし、

「そこにいるのはわかってる、出てこい」

と独り言のように呟く。

その後に悠の小さな声が聞こえたのか、前方の木陰から1人、後方の木陰からまた1人学園の制服を着た男が出てきた。

顔は口元を布で覆っていて、分からない。

「あと一人、いるだろ?」

さっき感じたのは3人の気配だ、そう思い呟いてみるが、そこで悠は気づく。

あと1人の気配が自分のいる場所からどんどん離れていくことに、そしてその気配が、Moonの校舎がある方に向かっていくのを。

罠か・・・、

悠がそう勘づくまでに時間はかからなかった。

つまり最初から俺をあの学園から引き離して、その隙に学園で何かをしようという魂胆だったのだろう。

だが、学園には理事長2人がいる。

あっちで捕まえるだろう。

なら、それなら、

「お前らは不要だな」

そう言って俺が少し力を解放しただけで、前後にいた悪魔が灰と化した。

2人が灰になった後も周りにある木々が根本からスパンッと切れて倒れていく。

「おっと、、、」

俺は体に少し力を入れて自分の力を体内に抑えた。

そして一呼吸おいて、もう1つの気配をたどりながら、学園のほうへ走った。

走るといっても、混血の俺たちにとってはその程度のスピードだが、一般人から見ると瞬間移動しているように見えるらしいけどな。