モノクロ～悪魔と天使の恋～

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【悠side】

病室を出た悠は、小さくため息をついた。

そしてすぐに歩き出す。

《こうしてる暇はない。すぐにあの方のところにいかなくては、事態は悪い方に向かっている。》

悠は何かを確信したような顔をすると、さっきよりも歩くスピードを上げた。

ーコンコンッー

重圧な扉に軽いノック音が聞こえる。

すると、それに反応するように、中から返事が聞こえてきた。

悠はそれを聞いて、「失礼します」と言って中に入った。

中に入るとそこにはMoon理事長、黒宮　司がいた。

ここは、Moonの理事長室、中に黒宮　司がいるのは当たり前なことだ。

「それで、娘の様子はどうだね、悠君」

さっきまで歩き回っていたのか、理事長は自分の机の前に立っていた、が、悠が来て、少し落ち着きを取り戻したのか、質問しながら自分の椅子に座った。

「無事、目を覚ましました。記憶の封印魔法もちゃんと聞いているようで、昨日あったことを途中まで聞かせましたが、昨日あったことどころか、黒宮　瑠美の事も忘れていました。」

「そうか、良かった。ありがとう、悠君」

現在報告をしながらも悠は、心ここにあらずの様子で、昨日の事を思い出していた。

悠が流華を病院に連れて行って、容態が安定した流華を病室で見てた時、深刻な顔つきで司が病室を訪れた。

「君は、天神　悠君だね。」

「はい。」

悠が返事をすると、一瞬だけ穏やかな表情になり

「君は父親そっくりだ。」

そう言ったかと思うと、司はまた深刻な顔つきになり、

「君に、お願いがある。」

と言ってきた。

悠は、流華関係のことだと直感的にわかり、

「なんでしょうか？」

とたずね、願いを聞き入れることを承諾した。

願いの内容は、司が、流華の昨日あった出来事と瑠美の記憶を封印するから、流華に昨日あったことなどを聞かれた場合は思い出さないように最低限のことしか教えないこと、そして、魔界に行く天使の隊に俺も入っている事がばれないようにすること。

でも、さっきは少し、流華に話しすぎたかもしれない。
そう思い、悠は短く嘆息した。