モノクロ~悪魔と天使の恋~

《頼む、流華、目覚めてくれ》

だれ?

なにもない、闇しかない空間をあてもなく

さまよっていると声が聞こえた。

《わたしには、おまえしかいないんだ》

お父様?

朦朧とした意識の中、聞こえてきた声、

《流華、俺の所に戻っておいで》

悠の声も聞こえる。

2人とも、私を呼び戻そうとしている。

でも私は、“戻りたくない”

お父様や、悠のいる世界は好き。

でも、もうあんな苦しい思いはしたくない。

あの傷の痛みを感じたくない。

瑠美の声も聴きたくない。

誰かが傷つくところをもう、見たくない。

愛する者を傷つけたくない!失いたくない!

ここなら、この闇の中でなら、

苦しまないでいられる。

この闇の世界は“《楽》らく”だ。

そう思ったときだった。

何も無いはずの闇の中に

光が現れた、

《流華、愛してる》

お父様と悠の声が重なって聞こえた。

戻らなければ、そう思った。

私は、愛してるだけじゃない、

私も誰かに愛されているんだ。

そう、分かったから。

戻らないといけない、そう思った。

そして私はその光に触れた