「良いの。俺があげたいんだもん」

「遥佳くん、でも」

「あ、でもって言ったね。その罰で貰ってもらうから」


まだ呼び慣れない俺の名前を必死に呼ぶ、可愛い可愛い俺の佳奈。
ここまで来ても、俺は自分の気持ちには気付かないでいた。

ただ、佳奈を愛している。

そんな気持ちが自分の中にあるなんてまだ、思いもしていなかった。


「うん、良く似合ってる」

「良いんですか?」

「良いの。初デート記念だよ」


ピンクダイヤのハートのネックレス。
佳奈の白い肌に映えている。


「…遥佳くん、ありがとう。一生大事にします」


笑顔の佳奈。

一生大事にする、そう言ってくれたネックレスはゆいいつ俺と佳奈を繋ぐものとして佳奈が大切にしている。

と、美乃梨に聞いた。



俺は、散ったお前の後を追うことができなかった。








「佳奈…」


愛していると、ちゃんと伝えることすら知らなかった俺を、あんなにも愛してくれたお前に俺は最低な「嘘」をついた。


それは、自分のためだよ。
美乃梨―…。