きっとそれは独占欲で、一人占めしたいなんて思ったりするんだ。


「遥佳様!?」

「あ、様付したね」

「…はるか、くん」


小さな声で、佳奈が俺の名前を呼ぶ。
顔が真っ赤で、可愛くて抱き締めたくなったけど我慢する。

この前、いきなり抱き付いたら佳奈は泣いてしまった。
それからいきなり抱き付くのは良くないんだと学んだ。


「にしても、俺は自分がこんなに感情が豊かだったなんて思わなかった」

「え?」

「あ、ごめん。一人言だよ」


どこへ行くかなんて決めてない。
ただ、佳奈が俺の隣りにいるのが嬉しかった。


「佳奈、なんか欲しいものある?」

「いえ、特に」

「う~ん…」


俺は佳奈の手を無理矢理引いて、ジュエリーショップに入る。


「西城様、いらっしゃいませ。今日は?」

「この子にネックレスを」

「はい。何点か持って来ますね」


店員に告げると、佳奈は驚いた顔をして俺を見た。


「だ、ダメです!!」

「なんで?」

「だって、そんなの貰えないです」


小さな声で佳奈はうつむきながら言う。