佳奈ちゃんの幸せそうな顔を見て、俺は何となく気が付くことがあった。


「…美乃梨、佳奈ちゃんて西城が好きなの？」

「なんで？」

「なんとなく」

「好きみたいだけど…。本人は絶対に叶わないから必死で気持ちを我慢しようとしてる」

「…西城が、恋をすると思う？」

「思わないから、問題だよね」


話しながらも手を繋いだまま。
そのうち、西城が俺たちに気が付いた。


「お前ら…」


最初は驚いた顔。
その後、満面の笑みで俺たちに抱き付いて来た。


「遥佳くん！？」

「良かったな、２人とも」

「…良くねぇよ。何もかも今からだからな」

「でも、良かった」


西城があからさまにホッとしたような表情を見せる。

美乃梨がそれを見て笑う。


「ありがとう」

「うん」


佳奈ちゃんが西城のちょっと後ろでうつむいているのが見える。

俺はなんとなく今からも、こんな風に佳奈ちゃんにたくさん気を使わせてしまうんだろうなと思った。

だから、俺は佳奈ちゃんに笑顔をむける。