おずおずと彼の背中に自分の腕をまわそうとした、その時。

彼の、あたしを抱きしめる力が強くなって…あたしはそれに違和感を覚えた。



「…レンくん?」



彼はあたしの肩に顔をうずめて震えている。

気づいた。

彼もまた、泣いていた。



「レンくん…泣いてるの?」

「…泣いてない」

「泣いてるよ」



――あたしと同じように。



「…っ…自分が受け入れられないのは、怖い。いつも悪い方に考えて…苦しかった」



彼はあたしを強く抱きしめたまま、ゆっくりと話していく。



「相手が離れていく前に自分から離れたらそんな気持ちにならなくていいから、アスカさんのことも…初めはそういう軽い気持ちだったんだよ」



彼はあたしと同じだ、って思った。

相手の裏切りを恐れていて、それでも距離をとりながらも人と関わりたがる。

――何よりも1人がいやだから。

でも、と彼が続ける。