ペンケースを隠されたときは、陽菜が筆記用具を貸してくれた。教科書に落書きされていたときは、隣の子が見せてくれた。黒板の落書きは、みんなが消すのを手伝ってくれた。

 だから、本当に平気だ。むしろ、これを機にクラスが団結するみたいに思えて、なんだか楽しかった。

 ……ただし、それは部活以外のときだった。

 部活仲間はみんな紗理奈ちゃん派のようで、私は明らかに孤立していた。最初は少しよそよそしいと感じたくらいだったのが、最近は無視されることも度々ある。

 特に仲が良いわけではなくて、ただ単に……怖いから、従っているのだろう。
 その証拠に、ハブられることはあっても、部活仲間からの嫌がらせは無かった。