「来季にこのこと、言った?」
 私は首を振った。

「言いたくない……」
 私のせいだし、そんな情けないところを見せたくはない。前にも言ったように、まず何よりも、嫌われることが怖いのだ。
 陽菜が何か言おうとしたけれど、A組の人が出てきたので、私はスクールバッグを背負った。

「じゃあね!」
 私は逃げるように、せかせかと部室へ向かった。

 どうしよう。このままでは本当に、来季を盗られても仕方ない。どうしたら……。
 何度も考えを巡らせるが、いきつく結論はいつも同じだった。しかしとても実行できそうにないので、なかなかこれを結論と言う勇気は出てこない。

 それでも、やっぱり。……本当のことを言うしかないのだろうか。