結局その日から、私と紗理奈ちゃんは毎日一緒に帰ることになった。おかげで私と来季の二人きりの時間はなくなって、帰りに手を振ることさえ出来なくなった。

 休み時間も毎回来季のところへ来るから、話せるのは、唯一あの時間だけになってしまったのだ。しかしその時間さえも、私は来季に話しかけることができなかった。

「……紗理奈って、可愛いけど、性格はちょっとね」
「そうなの?」
「だって、そうじゃない。前にも、優奈の彼氏盗ったらしいし」
「そうなんだ……」

 思い浮かんだのは、付き合っているのかどうかを聞いたときの、あの笑顔だった。でもそれ以外では、とてもそんな子とは思えない。それにどんな過去があっても、紗理奈ちゃんはきっと、純粋に来季のことが好きなのだろう。