そんなある日のことだった。

「甘李さん、ちょっといいかな?」

輝くんに呼び出されてしまった。

輝くんはちょーがつくほどカッコいいからファンクラブまである。

もちろん、輝くんが毎日メイド喫茶に通っていることを、ファンは知っている。

そんな輝くんに呼び出されたら、視線がすごく痛いのだ。

空き教室まで連れていかれた。

「あの…私に何か用ですか?」

私は恐る恐る輝くんに聞いてみた。

すると、輝くんは

「甘李さんって…」

そう言いながら、私の前髪をあげた。

「あっ…」

油断していた私は、阻止することができなかった。

「やっぱり…甘李さんってるりぴょんなんだね。」

やっぱりばれちゃった。

「うん……」

私は認めることしかできなかった。

「でも、メイド喫茶で聞いたときは違うって言ってたよね。」

痛いところを突かれてしまった。

「それは…あのとき、他のクラスの男子もいたし、あそこで認めちゃったらみんなに私の正体ばれちゃいそうだったからで…」
本当のことである。確かにあの時他のクラスの男子もいたのだ。

「そうなんだ。ってことは甘李さんがるりぴょんだってこと知ってるのは、僕だけなの?」

「そうだよ。絶対に誰にも言わないって約束してくれない?」

そんなの、輝くんが応じるわけないのになぁ。と思っていたが…

「いいよ!誰にも言わないよ。」

えっ!

「ホントに、ホントに!!」

「そんなに言わなくても、誰にも言わないよ。けど…」

けど!?ってなによ!

「けど…何?」

私は勇気を出して聞いてみた。

「僕の彼女になってくれないかな?」

えーーー!

「無理だよ。無理!」

絶対無理だよ。だってこんなにカッコいい輝くんと私じゃ、釣り合わないし…。

「じゃあ、みんなに柚子がるりぴょんだってこと、言おうかな?」

いやいやいや、それは困るけど…って突然呼び捨て!

「わかったよ、分かった、でも私、輝くんのこと好きじゃないよ。」

本当のことだけど、輝くんのことをカッコいいと思ってるけど、好きではないんだよね。ってか、手の届かない人みたいな存在だったから。同じクラスなのにね(笑)

「いいよ別に、今は好きじゃなくても必ず好きにならせて見せるから!!」

どこからその自信はくるのだろう?ってか、輝くんってこんなキャラだったっけ!?

「確かに輝くんのこと、カッコいいとは思うよ。でも、好きじゃないってか好きになれない。」

そう、私は輝くんみたいなカッコよすぎて、女子に人気がある男子が嫌いなのだ!なぜなら、私のことをブスと言った男子がそうだったからである。

「どうして?」

正直聞かないでほしかった…

「あーもう!だから、輝くんみたいな男子が嫌いだからよ!」

つい、言ってしまった!!

「僕みたいな男子ってどんな男子?」

まさか自分で自覚してないのかな?

「だから、輝くんみたいに女子に人気があっていつも周りに女子がいっぱい集まっている男子がイヤなの…」

「じゃあさ、女子が周り集まらなければいいの?」

「そういう問題じゃないの!」

もう!何で分かってくれないの?

「じゃあ、どうすればいいの?」

「どうすればいいって聞かれても…」

どうやってもたぶん無理だと思う。

「じゃあ、柚子が彼女になれば、女子は近寄らないんじゃない!?」

「無理だよ!だって私可愛くないし…」

それに、なんか違うような…

「柚子は十分可愛いよ!じゃあ、決定!柚子は今日ってか、今から僕の彼女ね!!」

強引すぎるような気がするんだけど…

「でも、輝くんのことは絶対好きにならないから!!」

「絶対に!?」

何でそこで聞き返すの?

「絶対、絶対、ぜーったい!!」

好きになんかなってやるか。

「絶対落としてみせるから。」

「落とせるものなら落としてみなさい☆」