彼女は自分を呼ぶ声で我に返った。

女の子とお婆さん、そして彼女の両親が心配そうに彼女の顔を覗き込んでいた。

「姉ちゃん、だいじょうぶ?」

女の子の頬に手を伸ばす。
溶けたと思った手は戻っていた。

体は冷たい何かに覆われていて、心地いい。
ああ、そうか、川に入っているんだ。

「あたし溶けてたね」
「そうよ、川で溶けてた」
「川に入ってたのに」

――胸が暑かったからかな、なんてね。
あはは、と笑って見せるが、彼女以外は誰も笑わなかった。