二時間後、彼は彼女の家に向かった。

「こんにちはー」
「あらぁ、いらっしゃーい!」

待ってたわよ、と彼女の母親が微笑みながらリビングから出てきた。
遅れて彼女が二階から降りてきて、彼は二階の彼女の部屋に向かった。

「あー涼しい」
「でしょ。この部屋、夏はいいよ」

――うちの虫くんにもね。
彼女が大きなプラスチックケースを指した。
得体の知れない白っぽい生き物ががさ、と動く。

彼は苦笑しながらテーブルの前に座った。