かき氷を受け取った少女は、店から出てくると迷わず彼の隣に腰掛けた。
可愛いな、と彼は思った。

会話が弾んだりとか、したらいいのにな、と彼がさりげなく視線を移すと、少女と目が合った。

「あ、どうも」
「どうも」

会話が二言で途切れそうになり、彼は慌てて言葉を繋いだ。

「同じ......だね、」
「へ? ......あ、本当だ」
「やっぱりかき氷はいちごミルクだよね」
「うん、定番かな。王道だね」

また会話が途切れる。
あーこれはもう駄目かな、と彼が諦めかけたとき、彼女が口を開いた。

「あたし夏って苦手なの」
「......あぁ、僕も」