3 八月十五日。 始業式まであと二週間と二日。 楽しい時こそ早く過ぎるのだと分かっていながらも、時よ止まれと願う。 人間はきっと学習しない生き物なのだ、と彼は風鈴の音を聞きながら思った。 夏休みが終わって欲しくないと思うのは、きっと人類に共通した思考だ。 宿題なんて開いてもいないのに、あと二週間と二日で夏休みは終わってしまう。 二週間と二日で、またあの殺伐とした日常へ戻らなければいけない。 時の流れる早さとは、時に残酷で無情なものである。