背後にはいつの間にかお婆さんがいた。
ベンチの後ろの壁には窓があり、お婆さんが顔を出せるようになっているのだ。

多分元々はその窓口でかき氷を売っていたんだろうけど、窓際にいると暑いから中に入ったとかそういう理由で窓を閉めたのだろう。

「何だい、情けないねぇ」
「今日は話す日なんですね」
「あんた失礼だね、まったく」

お婆さんは女の子に目をやると、にこ、と微笑んで頭を撫でた。
女の子は微笑みながら「チョコレート食べたい」と言った。

「あ、君もちゃんと話すんだ」
「あんた本当に失礼だね、まったく」

お婆さんが笑いながら彼を頭を小突くと、女の子が笑った。
彼女はその様子を笑いながら眺めていた。