「あっついねぇ、今日も」
「なくなったらどうしてくれんだか」
「本当だね! 蒸発しちゃうね!」

笑いながら言ってのける彼女に「笑い事じゃないよ」と彼は呟いた。

「いやー暑いなー」

不意に彼女が腕を伸ばしながら叫んだ。
独り言か彼に言っているのか分からない。
こういうことが度々あるから、きっとそれは彼女の癖なのだろう。

「今日は八月......十、三日?」
「え、もう? いや、まだか」
「それ僕もさっき心の中で言った」
「だよねー早々と暑くなりすぎだよねー」
「まー温暖化だしねー」
「え、温暖化って関係あるの?」
「......知らない」
「知らないのかよっ!」
「突っ込むねぇ、冴えてるねぇ」
「あー暑いなー」