半分ほど食べ終えたところで、彼は手を止めてふう、と溜息をついた。
体の熱は冷たいかき氷によって冷やされ、焼けるような暑さからは解放された。

後ろの壁に寄りかかって景色を眺めてみるも、辺りは変わらず田んぼばかりだ。
目を閉じて耳を澄ませると、先程と同じ虫の羽音が聞こえた。

だが、一つだけ先程とは違うところがあった。
――少女である。

いつの間に来たのかは知らないが、店の中に少女がいるようだった。

「じゃあ......いちごミルク、かな」

あ、同じだ。

彼は自分の手元にある溶けかけたいちごミルク味のかき氷を見つめると、先の切られたストローでそれを口に含んだ。