彼女は普通の女の子とは程遠い。
虫は好きだし、川に入るとき躊躇わないし、変に飾らない。
そして何より――溶ける。

他にはない、珍しくて素敵な要素だ。
儚いものは何より美しいのだから。

「この部屋、本当に涼しいね」
「溶けないように涼しくしてあるの」
「ここなら僕もなくならないかな」
「ちゃんと保湿もしてあるよ」

彼女が溶けることも、彼がなくなることも、もはや二人の間では当たり前になっていた。
彼女は元々だが、彼も疑ってはいない。
彼女が溶けることも、自分がなくなるということも。