彼女の部屋には、昆虫のフィギュアや図鑑、写真集やその他様々なグッズが所狭しと並べられていた。
種類は分からないが本物の虫もいる。
虫は一瞬彼を見つめてすぐに外を見た。

「へ......面白い趣味だね」
「今一瞬変って言おうとしたでしょ」
「いやいや、そんなことは......」
「いいよ、わざとだから」

――虫っていいよね。
彼女がペットの虫を微笑みながら見つめた。

「昔クワガタとかよく採ったな」
「いいよね、クワガタのフォルム!」

彼女は楽しそうに笑った。
本当に虫が好きなんだな、と思いながら、彼は微笑んだ。