「すいません、かき氷ください」

店主は無愛想なお婆さんだった。
彼女は不機嫌そうに彼を一瞥すると、無言でシロップの入った瓶を顎で指した。

「あ、じゃあいちごミルクで」

がたん、と乱暴に立ち上がってかき氷を作るお婆さんは、やはり無言だった。
彼もそれを無言で見つめ、出来上がったいちごミルクのかき氷を受け取る。

「ありがとうございます、」

会釈をすると、お婆さんはじろりと彼を睨みつけてすぐに逸らした。
愛想の悪いお婆さんだな、と心の中で悪態をつきながら彼は店を出た。

店先のパラソルが立てられたベンチに腰掛け、かき氷を口に含む。
口の中がひやりとした次の瞬間にはもう、いちごミルク味のそれはなくなった。