溶けたら困るじゃん、と彼女が彼を急かす。

「まだ食べ終わんないの?」
「ちょっと待ってよ、冷たいんだよ」
「当たり前じゃん、かき氷だもん」
「話してたら食べれない」
「じゃあ話さないで食べなさい」
「君が話しかけてくるからでしょ」
「別に返さなくていいの!」
「あーもう煩いなぁ」

彼は彼女に急かされながら何とかかき氷を食べ終えた。

ごみ箱を探しているとお婆さんが無言で手を差し出した。
二人分のごみを渡すとまた無言で足元にあるのであろうごみ箱に捨ててくれた。

彼女は溶けてしまうから、と急いで彼を連れてかき氷屋さんを出た。