「あたしー昨日の夜思ったんだけどー」

いつものように突然話題が変わった。
さっきまで季節は四つじゃ少ないという話をしていたのに、次は何の話だろうか。
彼は溜息をつくと、呆れたような微笑を浮かべて彼女を見つめた。

「蚊取り線香って意味なくない?」
「え、あるよ」

二人の間に沈黙が流れる。

「いや、ないでしょ」
「蚊を取るという意味がある」
「だって取ってないじゃん!」
「取ってなかったら意味ないじゃん」
「だから意味ないって言ってるんじゃん」

また二人の間に沈黙が流れる。