彼は一気に半分ほどかき氷を掻き込み、景色を眺めながら体の熱を冷ました。
やっぱりいつごミルクだよなー、と彼が田んぼを眺めていると、不意に視界に白いふわふわしたものが入った。
――彼女である。

「やっぱりいたークラゲくーん」
「......何それ」
「昨日言ってたじゃん、自分で」
「ああ、じゃあナマコちゃんだね」
「嫌だ! ナマコは嫌だから!」
「自分で言い始めたのに......」

彼女は彼の反論を待たずに店に入った。
店の中からは彼女の声だけが聞こえる。
やはり昨日と同じく、頼んだのはいちごミルク味だった。

店から出てくると、彼女は彼の左隣に腰掛けてかき氷を食べ始めた。