俺のリアクションに腹を立てたらしい美衣は頬を膨らませ、足早に立ち去り、昇降口に行ってしまった。

 ったく、これだから女は嫌なんだ。面倒だから。

 んでもって、短気。…これは美衣限定か?

「あのー」
 
 階段を下りた先の、昇降口と踊り場を結ぶ長い廊下を歩いていると、声を掛けられた。
 俺はひょい、と後ろを向いた。

 あ…。
 クラスメイトの上原愛(うえはら めぐ)がいた。すごく大人しい子で、休み時間は勉強か読書をしてるみたいだ。