「!」


―――ウソタのヤツ、

今、何て言った?


“愛しの芹菜ちゃん”て、

しかも大声で言わなかった?


唖然として口をあんぐり

開けたままの私に

ウソタが素早く近付き、

私の肩をがしっと掴む。


「ちょ、何すんのよ!」


どうにか逃れようともがくけれど、

男の子の力には到底勝てない。


「芹菜、何照れてんだよ。

 俺ら、“こういう仲”

 じゃねーか」


ウソタの騒音とも取れる

大きな声で、

周りの生徒たちがざわめき始めた。