チョコレートトラップ

「り、ん……」


後ろに立っていた人を

見た瞬間、私の顔から

笑顔がすっと消えた。


ようやく凛が来てくれた。


そう思ってにっこり笑って

振り向いたのに、

そこに立っていたのは

凛ではなく違うクラスの

男の子だった。


突然、しかも堂々と

この教室にわざわざ

入ってくるなんて信じられない。


「なんなのよ、ウソタ!

 もう、驚かさないでよ」


「磯貝。今、ちょっといいか」


私の言葉なんて

全く耳に届いていないようで、

静かにウソタが問いかける。


“ウソタ”とは、

彼のニックネーム。


名前は、爽太(そうた)

だったような気がする。


確か2年の時、一緒のクラスだった。


うん、そうだ。


だってその時から彼は

クラスメイトから“ウソタ”と

呼ばれていたんだから。