チョコレートトラップ

「大雨だから、

 みんな気を付けて帰ってね」


後藤先生のおっとりした

言葉を合図に、クラスメイトが

一斉に立ち上がる。


午前中たった3時間の

授業だったのに、

身体が鉛のように重い。


胸に溜まった

高橋くんへの想いが、

溜め息となって口から漏れる。


“待つ”ってこんなにも

苦しくて切ないの?


こんなんだったら昨日、

チョコなんて下駄箱に

入れるんじゃなかった。


高橋くんへの想いを

胸の中にひっそりとしまって、

今まで通り遠くから

見つめ続けてた方がよっぽど楽だ。


「ツライよ……」


周りに聞こえないように

小さく呟くと、

私もようやく重い腰を上げた。


これ以上、高橋くんを

考えないように頭を

リセットしないと。


凛とこれから遊ぶ約束だって

してるんだから。