―――どうしても

授業に身が入らない。


英語の辞書を開いていても、

配られたプリントに

目を通そうとしても、

私の頭の中に浮かぶのは

高橋くんの爽やかな笑顔ばかり。


1時間目の数学も、

その次の古文も

高橋くんのことばかり考えてた。


今日もまた午前中で学校が終わる、

それが救いだった。


だってこんな調子で

6時間目まで授業があったら、

きっともっと

高橋くんのことで

埋め尽くされてしまいそう。


だったらいち早く放課後、

どこか気分転換に繰り出したい。


天気も悪いことだし、

余計に寄り道して帰りたい。


そんなことを考えていたら、

気が付くと50分間の

終わりを告げるチャイムが

校舎内に鳴り響いた。


よし、あとは帰りの

ホームルームを残すだけ。


私は制服のポケットから

携帯電話を取り出すと、

素早くメールを送信した。