ガシャンという

鉄板の擦れる音と同時に

思わず目を瞑る。


やっぱり高橋くんの

“答え”を知るのは、怖い。


でも、このまま

目をそむけ続けるワケにも

いかない。


2,3回大きく深呼吸をすると、

私はゆっくりとまぶたを開いた。


「……私の、チョコ……」


目の前に見える

高橋くんの下駄箱には、

学年カラーの緑色の

履き崩された上履きだけが

置かれていた。


私が朝、急いで入れておいた

チョコはその中に見当たらない。


「てコトは……。

 高橋くん、持って帰って

 くれた、の?」


半信半疑で隣にいる

凛に視線を送る。


すると凛は満面の笑みで

私に向かって大きく頷いた。