そうだ。


ウソタはいつもみんなの前で

へらへらとしているけれど、

本当は女の子をちゃんと

守ってくれる優しい心を

持った人なんだ。


ウソタの口から出る

『嘘』は、みんなを楽しませる

優しい『嘘』。


人を騙そうとしているワケでは

ないんだ。


それが分かったから、

私はウソタに惹かれていったんだ。


「ほら、爽太。

 『嘘』つかないで、

 ちゃんとこたえろ」


そう言って、高橋くんが

ウソタの背中をぽんと押す。


ウソタの顔がなんだか

赤く染まっている気がするのは、

気のせい?


頭をぽりぽりとかく

仕草をしながら、ウソタが

まっすぐに私を見る。