私の声に、ウソタが

勢い良く後ろを振り返る。


「ヒロ! いきなりなんだよ、

 心臓止まるかと

 おもったじゃねーか」


この場の空気を変えようと、

ウソタがやけに明るい声を出す。


でも、高橋くんは

表情を変えずに

私たちのいる所へと近付いてくる。


そのかもし出す雰囲気に

圧倒されて、言葉も出ない。


ウソタの隣に立ったかと思うと、

高橋くんはウソタの胸倉を

掴んで軽々と持ち上げて叫んだ。


「爽太、いい加減にしろよ!

 何さっきから、

 磯貝の前でいい格好

 しようとしてんだよ!」


「ヒ、ヒロ。

 取り合えず、放せ」


ウソタが顔を歪ませながら言うと、

高橋くんが言われたとおりに

パッと手を放した。