「わ、私は……」


ようやく、

引っかかっていた言葉が

口から出てきたのとほぼ同時に、

廊下から、

激しく鋭い音が聞こえてきた。


その凄まじい音に、

身体がびくんと飛び跳ねる。


恐る恐る視線をその方へと向けて、

私は目を見開いた。


「高橋くん……!」


そこには、

拳をドアに押し当てたままの

高橋くんが、

今まで見たことのない

鋭利な刃物の様な視線を

向けて立っていた。