『凛、ごめん。先に帰ってて。

 もう少しだけ1人で

 学校にいたいから』


すると数秒も待たずして、

携帯電話が着信を知らせる。


『オッケー。

 じゃ、先帰るからね!』


確認した後、

携帯電話をポケットにしまうと、

私は窓際に立って、

ぼうっと外の景色を眺める。


植えられている木々が

風に吹かれてさらさらと

音を立てて揺れている。


この景色を見られるのも、

あと僅かなんだ。


そう思った時だった。


「芹菜」


ふわり包み込むような

優しい声が、教室内に響き渡った。