「磯貝、俺のこと責めねーんだな」


「え……」


『責める』って一体

なんのことなのだろうか。


それよりも、さっき

体育館で私のことを“芹菜”って

名前で呼んでいたのに、

今、ウソタは私を

“磯貝”って名字で呼んだことが

胸に深く突き刺さる。


私たちの関係は

『期間限定』なのだから、

当然といえばそうなんだけれど、

さっきまでの甘い響きが

なくなってしまったことに、

私の心が敏感に反応し震え始める。


そんな私を知ってか知らずか、

ウソタがそのまま言葉を続ける。


「俺が磯貝の彼氏面すんの、

 ずっとイヤがってたじゃねーか」


「それは……」


確かにウソタの言う通り、

最初の頃はウソタがこうして

しゃしゃり出てくる度に

私は否定し続けてきた。


無断でポスターを

貼り出された時だって、


昇降口で

待ち伏せされた時だって……。


でも、今は―――