きっとしばらく

落ち着くことのない

どよめきを背に受けながら、

私たちは体育館から

一歩一歩遠ざかっていく。


保健室へ向かうその間、

ウソタは一切私に

声をかけることはなかった。


ただゆっくりと、

私の身体に余計な負担を

かけないように歩き続けた。


ウソタのその無言の優しさが、

私の心を甘い蜜で

じんわりと満たしていった。


そしていつの間にか、

保健室に辿り着く前に

ぼんやりとしていた意識が

すうっと消えていった。