「みんな、僕のことを

 勝手に誤解してるだけだよ。

 学校で静かに過ごしていたのは、

 ただ、面倒な思いを

 したくなかっただけ。

 僕が相手をしてあげたら、

 あっという間に女の子たちに

 囲まれちゃうだろ?」


高橋くんの口から出てくる

想像を絶する言葉に、

体育館にいる全ての人たちが

衝撃を受けているのだろう。


ざわざわとにわかに

ざわつき始めている。


今までの高橋くんの

イメージとは違う発言に、

女の子たちは少なからず

ショックを受けているに違いない。


私もついこの間、

同じ体験をしたばかりだから。


しかし、高橋くんは

周囲の反応を気にすることなく

淡々と言葉を続けた。


「偶然、磯貝さんが

 僕のバイト先に来て、

 その時の彼女の反応が可愛くてね。

 一気に僕の気持ちを

 持っていかれちゃったんだ。

 だから、今までの

 “寡黙で優等生の高橋比呂”

 はもうおわり。

 静かでいるのって、

 結構しんどくて

 肩凝っちゃうんだよね。

 磯貝さんって、本当に

 爽太と付き合ってんの?」