チョコレートトラップ

高橋くんの言葉に、

威勢の良かった女の子たちが

へなへなとその場へ座っていく。


中には涙をすするような

音も聞こえてくる。


でも、今の言葉に

反論するような声は

一切飛んでくることがなかった。


みんなの憧れである

高橋くんの言葉が、

こんなにも力を

持っているだなんて思わなかった。


本当は、みんなが

憧れるような素敵な人なんかじゃ

ないのに。


どうにか高橋くんから

逃れようと身体を

よじってみるけれど、

頭がうまく働かない今の状態では、

どうにも出来なかった。


「じゃ、行こうか」


私の耳元で囁くと、

高橋くんは先生に一礼して

出入口へと歩き始めた。