チョコレートトラップ

それまで身体を支えてくれていた

高橋くんが、軽々と

私を抱きかかえる。


いわゆる、

“お姫様抱っこ”というスタイル。


その状態のまま、

学年主任にマイクを

差し出してもらい、

高橋くんがもう一度ふわりと

優しい笑みを見せた。


「みなさん、

 もう心配しないでください。

 磯貝さんは、僕が

 責任をもって保健室へ

 連れて行きます」