チョコレートトラップ

怒号とも思える叫び声が、

体育館中に響き渡る。


そこにいる全ての女の子が、

席を立って私と高橋くんへ

視線を向ける。


穏やかなものではなく、

嫉妬心剥き出しの凶暴な視線。


とある女の子が、

「なんなの、アイツ!

 私の高橋くんを

 独り占めするなんて!」

と乱暴な声をあげたかと思うと、

他の女の子が、

「あの子には、

 ウソタがいるじゃない!

 なんて図々しいヤツなの!」

と軽蔑するような声をあげて、

体育館が騒然となった。


それを一瞬の内に静めたのは、

意外にも学年主任ではなかった。