高橋くんの本性を

見てしまった気がする。


「それは、だから……」


「僕に近付いてくる

 女の子たちと触れ合うのは、

 確かに僕の楽しみだよ。

 でも、磯貝さんと

 こうして話してみて、

 磯貝さんの人柄に魅了されちゃった。

 もう他の女の子なんて

 別にどうでもいいよ。

 磯貝さんが

 爽太の彼女かどうかなんて、

 僕には関係ない。

 僕は、本気で

 磯貝さんを手に入れるから」


言い終わったと同時に、

高橋くんの表情が元に戻り

柔らかい笑顔を見せた。


くるくる変わる高橋くんの姿に、

私の中でどんどんと

恐怖心が募っていく。


言葉を失ったままの私は、

口をつぐんだまま

身体を翻して走り始めた。


背中から、

「ありがとうございました」

という、高橋くんの

優しい響きを感じながら。