チョコレートトラップ

次の瞬間、後ろを向いたはずの

私の身体が反転させられ、

高橋くんの腕の中に

すっぽりとおさまっていた。


あまりに突然のことで、

頭の中が真っ白になる。


ドクドクと音を立てていた鼓動が

さらに激しく打ち始めて、

呼吸するのもままならない。


言葉を失ったまま固まる私に、

高橋くんがそっと耳元で

囁きかける。


「磯貝さんにプレゼントしてよかったよ。

 そのワンピース、

 とってもよく似合ってる」


その甘美な響きに、

ゾクゾクと全身に電流が走る。


高橋くんがちゃんと

このワンピースを

覚えててくれたことも、

そして「似合ってる」と

言ってくれたことも、

今の私をとろけさせるには

十分過ぎるほどだった。